新卒 2 年目 webdev がフリーランスになった話、またはもう一つの退職エントリ

この記事は フリーランス Advent Calendar 2018 9 日目の記事です。

また、この記事は次のツイートに対するアンサーソングです。

謝罪

想定読者

会社員としてエンジニアをしていて、つらみが溜まっている人

前提

  • 電気電子系の学部を卒業
  • C と MS-DOS 16bit アセンブリ以外のプログラミングは独学
  • インターン経験無し
  • 2018-12-09 現在 24 歳

退職の経緯

  • 業務内容が自分の適性に合わなくなってきたと感じたため*1
  • インターン経験も無いので、給与をもらってコードを書いた経験が他にないため、触れることのできる技術と、働く環境の 2 軸からなる平面で考えたときに、現在地が自分にとって最適かどうか比較対象がなく判断できなかった*2
  • まだ社会的に自由が利きやすい今のうちに、その平面上で現在地から最も遠いところに身を投じてみたかった*3*4

退職の流れ

  • 半期ごとの 1 on 1 が 3 月頭にあったため、そこで伝えることに
  • 交渉の戦略としてドラスティックなものから始め、次第にこちらの描く目的地に軟着陸させるような感じで(参考: 給与交渉、下手にでるか、上からいくか - Qiita
  • 具体的には (1) 4 月からフリーランス (2) 4 月からはフリーランスになるが、チームの仕事を週 2 程度引き継ぐ (3) 部分的なリモートワークから始め、やがてフリーランスとして仕事を週 2 程度引き継ぐ
  • 数回の面談を重ねて、無事 (1) から (3) へ軟着陸*5
  • フリーランス環境を整えるため、引っ越しもした*6
  • 有給取得も忘れずに確認(溜まっていたので 7 月下旬 〜 8 月末まで消化期間に)
  • 健康保険や年金の切替手続きなどをする際、退職日が分かる書類が必要となるため、退職証明書や健康保険資格喪失証明書が手元に届く日を確実に打ち合わせておいたほうが良い。業界的に転職する人が基本多くて慣れていないせいか、退職証明書が退職日から 2 週間後にアウトソーシング先から発送されるという仕様バグを踏んだ

仕事探し

  • コネもないのでとりあえずレバテックに登録した*7
  • 有給消化期間の平日に担当者と面談し、事前に入力していた経歴、スキル、希望報酬、希望稼働日数などの確認をした
  • 退職前に技術スタックの詳細(言語、DB、各要素のバージョン、コード行数、テーブル数など)をメモしておくと、定量的・具体的な話ができるので、メモしておいたほうが良い
  • 特に自分の場合、保険として週 2 日は前職の仕事を引き継ぐので、週 3 日稼働できる場所をお願いした*8
  • 後日、紹介可能な案件が送られてくる。「実務経験 n 年以上」のように、条件を満たしていないものも送られてくるので助かる
  • 面談(実際には商談と呼ばれる)したい仕事先を複数選ぶ。ただし、あくまでもレバテックが受け入れ先企業に紹介可能なだけであって、希望したすべての企業と面談できるわけではない
  • 3 社ほどと面談*9させていただき、ありがたくも全ての企業さんからオファーをいただけた*10*11
  • ちなみに面談の際はレバテックの方が 1 人同席するので、あまりにも不利・筋違いな交渉にはならない気がして安心できる
  • 業務内容や技術スタックは各現場ほぼ同じだったので、基本的な判断基準として、報酬と、どれだけ自分が必要とされているか、で決めた
  • 額面の報酬は前職よりも当然上がるが、健康保険料・年金・税金などを全て自分で支払う必要があるので、どれだけ増えていれば等価かは難しい*12

開業する

  • とりあえず freee に登録した*13
  • ポチポチ入力したら開業届が PDF 生成されたので、捺印して郵送して終了した。屋号は考えるのが面倒だったので空欄にした*14
  • 事業用の口座を作ろうとしたが、同じ銀行で複数口座を開設することは原則不可だと知る。とりあえず別銀行で事業用の口座を開設*15
  • 健康保険は IT 健保の任意継続よりも国保のほうが若干安かったので国保にした*16
  • 厚生年金 -> 国民年金への切替で基礎年金番号が必要になったが、年金手帳が家中どこにも見当たらなかったので 再発行手続き をしたら 1 ヶ月半後ぐらいに届いた

フリーランスを始めて

  • 心身ともに安らかになった
  • 会社によって「色」が違うので面白い*17
  • エージェント経由で仕事を探すのは、実質的に治安の良い SES*18
  • SES ではあるが、稼働日などの調整は自分と稼働先で直接するだけで良い
  • 残業というより、むしろ残業しない圧がかかる。強制される方が今の自分にとっては心地よい
  • 現場都合で契約打ち切りになってしまうこともあるが、「できることならまたいつか直接契約させてもらいたいけどね」という、ありがたいお言葉をいただけることもある
  • フリーランスはプロダクトの中核部分に関わりにくい、という引き止めを退職前に受けたが、そんなことはなかった
  • こんなものを作りたいんだけど、という話が突然来たりするので、Ruby エンジニアとして採用されたはずが、web アプリを TypeScript + React でゴリゴリ書く、というのもあった
  • 住民税として 3 ヶ月に 1 回ほど 65k ほど飛んだりするので、報酬・預貯金・支出の設計はちゃんとする必要がある
  • 「経費で落とす」の概念が変わった
  • COMP の消費量・Uber Eats の利用回数が増えた

これから

  • 今後もずっとフリーランスのまま生きていくとはあまり考えていない
  • あくまでも心身の一時的な充電期間としてのフリーランス
  • 会社員として働けそうな会社を探す手段としてのフリーランス*19
  • 近い将来に結婚するとしたら、やはりフリーランスよりも会社員の方が(社会的な信用という意味で)良いのだろうか
  • フリーランスであれば最低 8M/年 という論調もあるが、まだ到底及んでないので精進
  • 人間性を良くする

最近

最後に

意識低く、とにかく生きるためにフリーランス、という選択肢もある。

*1:新卒にしては給与は良い方だったと思う。が、採用関連の業務が次第に増えたり、諸事情で一時的なチームリーダーになったり、ミーティングが増えたりと、ソフトウェアエンジニアとしてコーディングをする以外の時間が増えた。ちょうど繁忙期と重なってしまい、毎月 100h ~ 150h の残業が常態化してしまった(誤解の無いように書いておくと、オフィスで深夜まで残業している人は自分以外ほとんどいなかった)。ちなみに 130h ~ 140h/月 ぐらいを超えると産業医受診を勧めるメールが人事から送られてくるという知見を得た。返信しても何も変わらないだろうと思ってメールは無視してしまった。チームリーダー時代の同僚は U.K. オフィスから転籍してきた方で日本語がほとんど話せず、かといって自分も英語がほとんど話せないため、様々なコミュニケーションで多くの時間がかかってしまった。そして、リーダー業の適正に全く反するものとして、自分は周りに助けを求められないということに 24 年越しに気付いてしまった。周りから心配の声を掛けられることも何回かあったが、笑顔で「大丈夫ですよ」とか「気になっちゃうと時間忘れて集中しちゃうタイプなので」とか別人格のように平気で返していた。タスクを減らしてくれと誰にも助けを求められなかったため、残業でカバーするような悪循環に陥ってしまった。毎日 1 回は心臓に痛みを感じるようになり、深夜に痛みが激しくなったある日は近くの総合病院の時間外受付入口の前まで行ったが、自分が外れたらプロジェクトも潰れてしまうと思い込んで引き返してしまった。自主的に循環器内科を受診してホルター心電図検査を受けた結果、ストレス性の症状だと診断された。会社から徒歩 5 分のところに住んでいたのも、自分の残業依存に拍車を掛けてしまった。ある日からは朝に全く起きられなくなってしまったため、シャワーを浴びに一旦帰宅した後は、オフィスで椅子を並べて寝るようになった。ちょうどこんな感じである Ryo Yoshitake | THE GUILD on Twitter: "様子を発掘した… " こんな感じで寝起きした後、そのまま土曜日にオフ会へ出掛けたこともあった。ある日、近しい人に「まだ死にたくない」と泣きながら話したこともあった。週末も常に仕事のプレッシャーが脳内を巡っているため、体調悪そうとか心ここにあらずみたいな顔をしていたらしい。ある日、休日出勤(サビ残ではなく、ちゃんと休日出勤申請はしてある)してタスクを消化していたとき、同じチームの営業サイド兼プロジェクトマネージャの方と偶然会ってしまい、掛けられた言葉は「本当に助かります。このチームも安泰間違いないですね」的なものだった。このときに何かが自分の中で切れてしまった。もちろん、自分はそのとき笑顔で、たった今実装できた機能について自慢げに説明していた。と同時に、もうこんなことはやめようと、切に、心から、思った。声を掛けられたときに助けを求められていれば… スプリントを立てるミーティングで助けを求められていれば… 1 on 1 のときに助けを求められていれば… タスクをさらに効率化して捌くスキル・意欲がもう少しあれば… このような形になってしまって、当時同じチームだった方には本当に申し訳なく思っています… 今チームを率いてくださっている方はちゃんと「無理です」と声に出せる方なので偉い。

*2:会社員として働くことに恐怖感を持ってしまったのもある

*3:とにかく今の自分を、状況を変えたかった

*4:これらの理由は、退職する旨を伝える前日に思い付いた

*5:会社の様々な事情等も聞けて良かった

*6:日当たりが良くなったので良い

*7:後から聞いた話だが、ITプロパートナーズよりレバテックの方が差し引かれるマージンが少ないという噂がある。最初の現場で同じくフリーランスで入っていた方が IT プロパートナーズ経由だった

*8:レバテックの場合、週 3 日までは案件を確保しているらしい。中の人曰く、週 5 日受入可能な案件数を 100 とすると、週 4 は 60 前後、週 3 は 20 弱らしい

*9:前々日ぐらいに慌てて名刺を作ったが、実際には名刺を出してはいけない規則だったので使わなかった

*10:結果的に報酬が少し吊り上がったので、複数先と面談しておくことはメリットがありそう

*11:オファーをいただけるような経歴が前職の激務に支えられていると思うと気持ちになる

*12:前職の仕事を引き継いだ分は、日割り計算として従来の給与の 2/5 になった。ただしボーナス分は無い。抑制策として納得はできるが、税金等も考えると少し多めの額を交渉したほうが良かったかもしれない

*13:yatteiki.fm ep.34 聴いてたら freee 便利という話があったので https://yatteiki.fm/episode/34

*14:後日、某 Japanese traditional big company(元ネタ: 10/30 新卒でJapanese traditional big companyに入って半年で転職するということ - glamorousdammy)で Vue.js の仕事を外部に投げたいという方がいたのだが、個人宛の発注だと事務作業が通りにくそう、という話があり、屋号とか法人化とかはそういうところで関係するという知見を得た

*15:知り合いのフリーランスの方に聞いたところ、住宅ローン用に開設した口座が休眠していたので、それを復活させて同じ銀行にしたらしい

*16:どうしても安い寿司が食いたい・お安くバーに行きたいとかであれば任意継続すれば良いと思う

*17:ちなみに最初の現場は事業化の目処が立たなくなったことで契約終了になってしまった。これがフリーランスか〜

*18:実際、稼働先の方々は、僕のことをフリーランスや業務委託ではなく SES として認識していることが多い

*19:ただし、今の観測範囲だと正社員の人はみな忙殺されていて厳しい

退職する

from

  • エムスリー株式会社
  • ソフトウェアエンジニア
  • 2017-04-01 (新卒) ~ 2018-08-31
  • 最終出社: 2018-07-19

to

  • フリーランス
  • ソフトウェアエンジニア
  • 2018-09-01 ~